分析化学
Print ISSN : 0525-1931
示差熱分析法による固体触媒炭素質の迅速定量
白崎 高保岡田 正秀地濃 貞雄森川 清
著者情報
ジャーナル フリー

1964 年 13 巻 5 号 p. 445-449

詳細
抄録
有機気相接触反応の使用固体触媒上に析出する炭素質を迅速定量するために,示差熱分析法(以下DTAと略記)を提案し研究した.シリカアルミナ触媒を用い,流通法による常圧600℃のトルエン接触不均化反応を行なって使用ずみ触媒,すなわち分析試料を調製した.試料の炭素質析出量は使用時間によって変化させた.使用ずみ触媒110mgと酸化第二銅110mgとの混合粉末を通常の示差熱計で分析し,炭素質の燃焼に基づく発熱ピークの面積を求めて絶対検量線より析出炭素質量を決定した.検量線は未使用触媒とカーボンブラックの混合物を示差熱分析し,その発熱ピーク面積と炭素含量との関係をプロットして作製した.研究の結果,上のDTAは0.4%の絶対標準誤差を許容するならば触媒炭素質の迅速定量に用いられることがわかった.この分析精度は示差熱計に若干の改良を施せば向上することが期待される.なお,特性の異なる2種のシリカアルミナ触媒において炭素質析出量はほぼam0(b-x)dm(a=6 or 5)に等しいことが知られた.ここにbとxはそれぞれトルエンのベンゼンおよびキシレンへの転化率,mは原料トルエンの積算通油量(mol)を表わす.
著者関連情報
© The Japan Society for Analytical Chemistry
前の記事 次の記事
feedback
Top