抄録
バリスターの原料として使用する炭化ケイ素中に含まれる微量成分の定量を,比色分析法によって検討した.すなわち,塩酸可溶性鉄は,JIS法と同様に,チオシアン酸錯イオンとし,480mμの吸光度を測定して定量した.また鉄およびアルミニウムは,pH7でオキシンとキレートを生成させてクロロホルムで抽出し,390mμと470mμの吸光度を測定して同時に定量した.カルシウムとマグネシウムは,含有量が非常に少ないので,チモールフタレインコンプレキソンを用いて,pH11.5で610mμの吸光度を測定し,合量として定量した.以上の方法でNBS試料を定量した値は標準値ときわめてよく一致したので,実試料の分析に適用して良好な結果を得た.