分析化学
Print ISSN : 0525-1931
乾式試金における共存元素の影響
乾式試金法における分析誤差の検討(第1報)
矢口 公彦兼子 潤
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1972 年 21 巻 5 号 p. 601-608

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抄録

乾式試金法における共存元素の影響を主とする誤差の要因について検討した.予備実験で鉛ボタンの適切な大きさが25~35gであることを確認した.
30gの鉛ボタン中に含有される不純物量が銅2g,ニッケル0.025g,テルル0.2g,セレン0.5g,ビスマス0.2g,ヒ素0.5g,アンチモン0.5g以下の場合はこれら不純物がないものと比較して差が認められない.銅3g以上,ニッケル0.03g以上になると灰吹不能になる.テルルは融解時にほぼ全量鉛ボタンに含有され,試料中の存在量が1g以上では灰吹時にキュウペルへの吸収が増大して金0.5mg,銀10mgの場合は金銀合粒が生成されない.
亜鉛は融解操作では鉛ボタンにはほとんど含有されず,灰吹損失への影響は小さいが,通常の黄鉄鉱などに適用する鉄くぎ法では融解時に金,銀のスラグへの損失を大きくする.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry
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