抄録
メチルチモールブルー-水銀(II)錯体は,水相でチオシアン酸イオンと反応してチオシアナト混合配位子錯体を生成する.この錯体は第4級アンモニウム塩であるゼフィラミンとイオン会合させることによりクロロホルムに抽出されるので,これを利用して0.02~0.3ppmのチオシアン酸イオンの抽出吸光光度定量法を確立した.
チオシアン酸イオン試料溶液を100ml分液漏斗にとり,リン酸塩緩衝液でpH6.8~7.1の範囲の固定した値にしたのち,1×10-4MMTB溶液5ml,4×10-5M硝酸水銀(II)溶液10ml,1.25×10-3Mゼフィラミン溶液5mlを加え,水で全容を50mlにする.さらにクロロホルム10mlを加え,3分間振り混ぜ,10分間静置後,クロロホルム相をセルにとり,試料溶液のみを加えずに他は同様に操作した試薬ブランク液を対照にして,波長646nmで吸光度を測定する.