1980 年 29 巻 10 号 p. T73-T78
フローインジェクションシステムによる各種銅合金中の銅の連続定量法(分光光度法)を確立した.検出は,アクア銅(II)イオンの805nmにおける光吸収,又は銅(II)-EDTA錯体の730nmにおける光吸収を利用した.試料溶液は酒石酸を含む硝酸に合金を溶解して調製し,それに続くいかなる化学的処理をも必要としない.
黄銅1種,黄銅3種,ネーバル黄銅,鉛入黄銅,ベリリウム銅,脱酸銅,洋白,アルミニウム青銅などの銅合金標準試料に本法を適用したところ,得られた結果は各銅合金の標準値とよい一致を示した.アクア銅イオン法,銅-EDTA錯体法における精度は,それぞれ0.5%,1.2%以下と非常に良好であり,分析速度は1時間当たり17サンプルである.