分析化学
Print ISSN : 0525-1931
試料量が多い場合のガスクロマトグラムピーク非対称の原因
竹田 一郎
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1982 年 31 巻 1 号 p. 43-47

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抄録
一般に,ガスクロマトグラフ測定で,試料量が多いとき,クロマトグラムの保持時間の短いピークは,テーリング的非対称になりやすいのに反し,保持時間の長いピークは,リーディング的になりやすい.このうち,テーリングピークに関しては,カラム中の試料帯の移動に際し,試料も又キャリヤーガスの働きをするためであると説明されている.
本研究では,リーディングピークに関し,試料を吸収することにより増加した液相部分も又固定相液体として働くのが,リーディングの原因であると仮定した.そうすれば,試料帯の高濃度の部分は,低濃度の部分より移動速度が小さくなるはずである.
そこで,スクアランカラム,デカン試料で実験を行い,リーディングピークを得た後,段モデルを用い,気相中の試料濃度は,液相中の試料のモル分率に比例すると仮定し計算を行い,実験で得られるピーク形とよく一致する溶出カーブが得られた.
テーリングピークに関しては,スクアランカラム,ヘキサン試料を用い,試料によるキャリヤーガスの流速増加,及び液相量増加の両者を考慮し溶出波形を算出した結果,実験とかなりよい一致が得られた.
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© The Japan Society for Analytical Chemistry
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