抄録
エネルギー分散型蛍光X線分析法を排水中の微量金属イオンの多元素同時分析に応用し,定量方法を確立した.排水試料は,採取時に硝酸酸性とし,硝酸分解した後,ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム(DDTC)を用いてミリポアフィルター上に沈殿捕集して,マンガン,鉄,ニッケル,銅,亜鉛,鉛の定量を行った.更に溶解性の鉄及びマンガンの定量には1-(2-ピリジルアゾ)-2-ナフトール(PAN)法を,又還元操作の必要なクロムの定量は鉄担体を加えたDDTC-ミリポア法を用いた捕集方法が適切であった。鉄,亜鉛,銅,マンガンについては,一般の排水分析に用いられている原子吸光分析法とのクロスチェックを行い良好な結果を得た.本法における検出下限は銅,鉄,マンガン,ニッケル,鉛,亜鉛についてそれぞれ1ppb, 2ppb, 6ppb, 4ppb, 7ppb, 2ppbである.