1985 年 34 巻 7 号 p. 414-419
アンモニアを試薬ガスとしたガスクロマトグラフィー/化学イオン化質量分析法で単糖類とデオキシ糖類の分析を行い立体異性体の区別について検討した.試料をトリメチルシリルエーテル化した後,測定を行うことにより,(M+NH4)+イオンが出現することを見いだした.(M+NH4)+イオン強度が小さければα,高ければβでありアノマーの区別が化学イオン化マススペクトルで可能となった.相対強度比でD-ガラクトースは4.5%と56.3%,D-グルコースは8.2%と22.6%,D-マンノースは7.9%と25.1%,6-デオキシ-L-ガラクトースは0.7%と5.1%,2-デオキシ-D-ガラクトースは1.3%と8.4%,6-デオキシ-L-マンノースは0.08%と0.7%,2-デオキシ-D-グルコースは1.2%と10.8%である.このことを利用して,γ-D-ガラクトース,γ-D-グルコースと呼ばれている成分が,α-D-ガラクトフラノース,α-D-グルコフラノースであることが分かった.アノマー以外の立体異性であるエピマーの区別,デオキシ糖類のデオキシ位置,フラノース,ピラノースなどの区別も化学イオン化マススペクトルから決定できることが分かった.