抄録
溶媒抽出/ICP-AESを用いた天然水中のモリブデンの定量法について検討を行った.その際,ICPのプラズマトーチに直接導入可能な有機溶媒としてニトロベンゼンを選択し,抽出pH,8-キノリノール濃度の影響について調査し,それぞれpH3.5,8-キノリノール濃度0.01%以上が有効であるとの結果を得た.又,抽出時の妨害物質の除去には0.5~2.0 Mの塩酸での逆抽出が有効であった.本法の抽出,定量を通しての繰り返し精度は3%未満で,感度も従来法に匹敵していた.本法で天然水中のモリブデンを定量したところ酸処理の有無で分析値に有意差が認められた.この結果,現在まで考えられていたモリブデンの溶存種に加え,新たな分子種(有機形,あるいは過モリブデン酸)の存在が示唆された.