分析化学
Print ISSN : 0525-1931
化学進化と分析化学
小林 憲正
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1996 年 45 巻 9 号 p. 811-824

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抄録

地球上の生命の起源は,原始地球もしくは地球圏外において単純な分子が複雑な分子へと"進化"して,やがては生命の特徴である代謝能,自己複製能を有する分子集団が誕生したとする"化学進化仮説"により説明されようとしている.この仮説の検証のために,原始地球や地球圏外環境を模した室内実験や,地球化学的試料や地球圏外物質の分析が1950年代以降行われてきた.これらの研究においては,反応生成物や宇宙地球化学試料中に含まれる有機物,特にアミノ酸や核酸関連分子などの生体有機物の極微量分析が必要な場合が多く,その発展のためには分析化学の進歩が不可欠であった.本総説においては,これまでの化学進化研究とそこで用いられた分析化学に関して文献を紹介し,今後の分析化学の役割についても展望する.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry
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