分析化学
Print ISSN : 0525-1931
相対保持時間指標を用いるキャピラリーガスクロマトグラフィー/質量分析法による大気粉じん中の多環芳香族炭化水素の分析
小田 淳子市川 省吾森 忠繁
著者情報
ジャーナル フリー

1996 年 45 巻 9 号 p. 825-835

詳細
抄録

キャピラリーGC/MSを用いて,大気粉じん中の縮合環2環式のナフタレンから7環式の3,4,8,9-ジベンゾピレンまで30種の多環芳香族炭化水素(PAH)を定量する方法を検討した.環境大気中に存在する他の未知PAHの同定法は,質量スペクトルと標準品のリテンションインデックス(PTRI)値を用いて行った.石英繊維濾紙に捕集した粉じんからベンゼン/エタノール(4:1)でPAHを超音波抽出し,5%含水のシリカゲルカラムクロマトグラフィーを使って30%ベンゼン/ヘキサン40mlでクリーンアップした.そのときの回収率はフェナントレンの質量数(MW)以上のPAHで68%以上であった.5地点で採取した環境大気粉じん22試料についてPAH20物質を定量した結果,極めて類似したPAHプロフィルが得られ,これは採取地点の濃度の差に依存しないことが明らかになった.PAH30種のPTRI値は,メチルシリコン系キャピラリーカラム4種類で測定した場合の相対標準偏差(RSD%)が0.6~1.4%であったことから,異なったGC条件下でもよく一致していた.GC/MSに注入した標準品の質量スペクトルとPTRI値を用いて大気粉じんの抽出物から2~7環式のアルキルPAHと含硫黄複素環化合物を含む92物質を同定した.質量スペクトルとPTRI値の組み合わせによるGC/MS測定法は,環境試料のPAH分析に有用であることが明らかになった.

著者関連情報
© The Japan Society for Analytical Chemistry
前の記事 次の記事
feedback
Top