抄録
ICP-MSによる湖水中のテルルイオンの定量に関する基礎検討を行った.まず無機酸類による負の干渉はインジウムを内標準に用いることにより高精度の補正が可能であった.又,湖水中のテルルイオンはpptオーダーであること,及び共存バリウムによる同重体干渉が生じるため,測定前の濃縮と分離操作が必要であった.その手段として水酸化鉄による共沈分離・濃縮法について検討した結果,pH6~10においてテルルの四価,六価イオン共に定量的に共沈され,逆にバリウムイオンは全く共沈されなかった.しかし,測定時にこの多量の鉄イオンがテルルに対し大きな負の干渉を示すため,この鉄を1-フェニル-3-メチル-4-トリフルオロアセチル-5-ピラゾロン-ブチルエーテルの溶媒抽出系により分離した.琵琶湖水11を上記の操作後,20mlとして測定,定量した結果,全テルルイオンとして0.036~0.043ppbの値が得られた.