抄録
本稿では,まず,反応熱分解GCの特徴について解説し,次に,著者らが行ってきた,下記の合成高分子及び天然有機物の組成分析及び微細構造解析への反応熱分解法の応用例を紹介した.1)ポリカーボネートの末端基及び共重合組成の定量,2)ポリアクリルアミド樹脂中の陽イオン性コモノマー成分の定量,3)有機アルカリ共存下における液晶ポリエステルの反応分解機構の解析,4)紙中に微量に添加されたロジン系サイズ剤の定量,5)動物プランクトン1個体中に含まれる脂質成分の定量,6)熱安定化処理を施したポリアセタールの連鎖分布の解析.これらの課題はいずれも,従来の他の分析手法では,1)μgオーダーの微量の試料の測定に際しては感度が全く不足していたり,2)回収率の低下や,試料の汚染を引き起こす煩雑な前処理が必要であったり,あるいは,3)はん用されている溶媒に対して難溶性であるためにスペクトル測定が困難であるといった理由などから,分析が困難であったものである.本稿で紹介したのは,こうした中で実用的な分析法の開発が渇望されていた,幾つかの合成高分子あるいは天然有機物に対して,反応熱分解GCを適用し,組成分析や微細構造解析の分野に新しい道を切り開くことを試みた応用例である.又,結言では,反応熱分解GCの手法の将来展望についても言及した.