分析化学
Print ISSN : 0525-1931
融閉ガラス毛細管を用いるステロイドの呈色反応の安定化
ステロイドの呈色反応(第1報)
長沢 佳熊渡辺 俊雄
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1960 年 9 巻 1 号 p. 13-19

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抄録

ステロイドに対し硫酸を用いる呈色反応,すなわち,単なる硫酸反応;Woker法,Scherrer法,Libermann-Burchard反応,Salkowski反応,Lifschütz反応をおこなうとき,その呈色は順次に変化するが,これをガラス毛細管中でおこない,ただちに融閉すると,その呈色が安定化する,また,その変化した呈色物質を毛細管に移し,融閉すると,その色が安定化し,いずれの場合も1~3ヵ月後において,そのままで保たれるものがある.Scherrer法を,小試験管中で炭酸ガス気流上でおこなった場合は,空気中でおこなった場合より呈色が少し安定化する.
ガラス毛細管中で以上のような反応をおこない融閉し,長時日放置すると,ある場合には種々の呈色体が同時に1本の毛細管中にあらわれる(Fig.1,2参照).これらの現象を利用すると,各種のステロイドの同定に大いに役立つ.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry
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