抄録
ジエチルジチオカルバミン酸銅の四塩化炭素溶液を指示薬として微量のシアンイオンを硝酸第二水銀溶液で滴定する方法を考案した.すなわち滴定の途中は滴加した水銀イオンはシアンイオンと結合して指示薬と反応しないが,すべてのシアンイオンがシアン水銀となる量以上に硝酸水銀を滴加すると指示薬と水銀イオンが反応して指示薬溶液の脱色が起り終点を知ることができた.本法によれば0.0001M硝酸第二水銀溶液を用い30~140γのシアン化カリウムが簡易かつ正確に定量できた.ハロゲンイオンおよび有機物は本定量法を障害したが,試料を酒石酸酸性となし蒸留した留液について本法を試み障害なくシアンイオンを定量することができた.