日本物理学会誌
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一般相対論の実験的検証と重力理論の拡張(<特集>発展し続ける一般相対論-時空論の起承転"望"-)
田中 貴浩
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2015 年 70 巻 2 号 p. 119-124

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抄録

一般相対論の成立から100年という歳月が流れたが,これまでのところ一般相対論のほころびは全く見えてきていない.アインシュタインは一般相対論の検証として (1)水星の近日点移動,(2)太陽による光線の曲がり,(3)重力赤方偏移の3つを挙げた.これまでのところ,アインシュタインが提示した3つの検証実験を一般相対論は見事にパスしてきている.一般相対論は理論の簡潔さから,疑う余地がない理論という考えもあるかもしれないが,さらに,新しい検証実験も提案され厳しい実験的検証の努力が続けられている.近年の宇宙の加速膨張を説明するために,わずかに真空のエネルギーが必要とされる.この不自然さを重力理論の修正で克服する試みがなされている.これらの試みに対しても一般相対論の検証実験は強い制限を与えることになっている.

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© 2015 一般社団法人 日本物理学会
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