日本物理学会誌
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パイ中間子凝縮から巨大ガモフ・テラー状態
土岐 博
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1985 年 40 巻 5 号 p. 327-333

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抄録

湯川の予言で良く知られるパイ中間子は原子核の構成粒子である核子 (陽子及び中性子) が結合するのに重要な役割を果たすが, 通常の核内では, 現われたり消えたりして常時存在することはない. ところが核子の密度を上げると常時存在出来る様になる (パイ中間子凝縮). 一方, 原子核の運動状態として, 形の振動に加えて, 中性子から陽子に更にスピンを上下に反転させる振動状態が最近みつかった (巨大ガモフ・テラー状態). これら一見関係のない様に見える現象が実は深くからみあっている. これらの現象の周辺を述べて, パイ中間子と核子のおりなす物理を研究する意義を解説したい.

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