Shechtmanらの5回対称性を持つ新しい秩序相 (準結晶) を示唆する実験以来, 準周期を持つ系の物性に大きな関心が寄せられています. これは周期性を持つ結晶とアモルファス物質の中間と考えられるもので, これらと異なる新しい性質を持つことが予想されます. 特に一次元準結晶の電子状態はエネルギーバンドが無限に存在するカントール集合となること, 自己同型でフラクタル性を持つ波動関数が存在することなど奇妙な性質を持つことが知られています. これらは繰り込み群の考え方, カオスを出し得る非線形力学系などと深い理論的つながりがあります.