日本物理学会誌
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走査型ホール素子顕微鏡による"異常な"強磁性体の磁区観察
福村 知昭長谷川 哲也
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2000 年 55 巻 7 号 p. 519-524

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抄録

巨大磁気抵抗を示すいろいろな強磁性体が最近見つかっている.その中でも,強磁性体トンネル接合の無限層構造を自然に有し巨大なトンネル磁気抵抗を示すLa1.4Sr1.6Mn2O7,高々5mol%のMn添加により約100Kという高温で強磁性を示す磁性半導体(Ga,Mn)Asは注目されている材料である.前者は異方性が強く温度変化の大きい磁性を示す点で,後者は強磁性の起源が未解決という点で,"異常な"強磁性体といえる.一般に強磁性体は微視的な磁気構造-磁区-を有しており,これは磁性体の種類に応じて様々な形態を持つ.我々は各種磁性体の磁区構造を観察するために,極低温から室温まで測定できる走査型ホール素子顕微鏡を開発した.ここでは走査型プローブ顕微鏡による磁区観察法を簡潔に述べ,磁気記録媒体の磁区・表面形状および上に述べた物質の磁区構造の観察結果を紹介する.

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