抄録
2020年春よりコロナ禍が続き,人々は活動に大きな制限を受け,その行動様式が変化した。そこで,本研究では,コロナ禍における大学生の睡眠状況の実態を調査することを目的とした。2021年度広島大学歯学部歯学科1~6年生327名を対象として,2022年2月から3月にかけて,質問紙調査を実施した。質問項目は,性別,学年,年齢と言った個人の属性に加えて,平日と土日の起床・就寝時刻及び生活習慣や睡眠の状況とした。その結果,241名から有効回答が得られ,8時45分から始まる授業に間に合わないと考えられる8時15分より遅くに平日に起床すると回答した者が50名(20.7%)認められた。また,半数以上が,平日,午前1時以降に就寝すると回答した。調査が実施された時期,広島大学歯学部の授業のほとんどが対面からオンラインに移行しており,そのオンライン授業のほぼ全てがオンデマンド授業であった。そのため,学生には早めの起床が不要となり,起床・就寝時刻ともが遅くなった可能性がある。また,朝食摂取の有無と睡眠の質の要因分析を行ったところ,平日の起床時刻が早く,平日と土日の起床時刻の差が少ない学生において,朝食を取り,遅刻がなく,睡眠の質がより良いことが示された。これらの結果から平日と土日で起床時刻を大きく変えず,常時早く起きることが重要であると考えられた。