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3-amino-1, 2, 4-triazole にする肝カタラーゼ低下の機構
杉村 隆
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1956 年 47 巻 2 号 p. 159-170

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抄録

3-amino, -1, 2, 4triazole (AT) は動物体重1g当り1mgの注射で, 肝カタラーゼを極度に低下させることが出来る。この際赤血球カタラーゼには影響がない。この現象は担癌動物およびトキソホルモン注射動物に見られる所と同一であるので, トキソホルモン作用の機構追求と関連して本問題の研究を行った。その結果ATはトキソホルモンと全く異る作用機作を持つとともにそのカタラーゼ阻害機構に関して非常に興味ある所見を得た。
ATは in vitro で37°Cで肝ホモジエネートと incubate すると全く肝カタラーゼを阻害する。結晶カタラーゼ溶液は37°CでATと incubate しても阻害されないが, これに肝抽出液を少量加えると完全阻害が起る。この肝抽出液は heat labile, 非透折性の酵素蛋白と, 耐熱性透折性の助因子とからなり後老はアデニン化合物で代用される。この阻害作用発現には酸素の存在が必要である。ATが肝酵素によりカタラーゼ阻害物質に変化すると考えられるがそのものを証明することは出来ないので, 不安定なものと考えられる。
ATは in vivo および in vitro でチトクロームC酸化酵素に作用しない。また動物注射で肝カタラーゼを極度に低下させた場合でも肝のポルフイリン代謝に大きな影響はおよぼさない。

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