Print ISSN : 0016-450X
担癌動物のトリプトファン代謝
森 和雄一井 昭五松本 克彦
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1958 年 49 巻 4 号 p. 301-306

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抄録

1) p-Dimethylaminoazobenzene 肝癌生成過程の白鼠, 腹水肝癌移植白鼠あるいはエーリッヒ癌移植廿日鼠尿中のトリプトファン, キヌレニン並びにアントラニール酸等を, トリプトファン負荷前後に比色定量して, それらの動物のトリプトファン代謝を検討してみた。
2) 肝硬変あるいは肝癌をもった白鼠の尿中のトリプトファン並びにその代謝物は, いづれも正常白鼠尿中のそれらより低い値を示した。尚動物にトリプトファンを負荷した後のトリプトファン並びにその代謝物の増量も軽度であった。
3) 腹水肝癌移植白鼠でも, トリプトファン並びにその代謝物の尿中えの排泄は正常鼠に比べて低値を示していた。
4) エーリッヒ癌廿日鼠では, 尿中えのトリプトプァン並びにアントラニール酸の排泄量が正常の場合より減じている。しかしキヌレニンの尿中えの排泄量は癌移植後の発育につれて増してくることがわかった。
5) 以上の結果から白鼠と廿日鼠では, 癌のある場合のトリプトファン代謝過程がちがうようにおもわれる。

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