Print ISSN : 0016-450X
犬の可移植性性器腫瘍におよぼすX線照射の効果
幡谷 正明白須 泰彦竹内 啓
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1958 年 49 巻 4 号 p. 307-318_4

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抄録

犬の可移植性性器腫瘍におよぼすX線照射の効果を, 自然発生の本腫瘍を膣に有する8頭の犬について検索した。
陰門部附近に発生した腫瘍はすべて1回線量200, 300, 400rの6回照射 (間隔2~3日) 総量1200~2400rの照射によって縮少治癒した。この結果本腫瘍が放射線に対する感受性の高い腫瘍であることが分った。
また組織学的検索の結果, 治療初期に一時的な細胞分裂の抑制, 種々の異常分裂像, 細胞および核の大きさの増大が認められた。それ以後の時期では腫瘍細胞の著しい変性, 遊走細胞の侵潤が認められ, 線維芽球の増生によって腫瘍基底部に瘢痕組織が形成された。
臨床所見および血液所見から考えるとX線照射の犬の全身状態におよぼす影響は少なかった。

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