Print ISSN : 0016-450X
MTK-肉腫IIIを移植せるシロネズミ肝のグリコーゲン, RNA, およびDNAの消長について
堀 浩高山 奨松本 雄雄牧野 佐二郎
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1958 年 49 巻 4 号 p. 319-330_1

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抄録

Wistar 系シロネズミ (70~120g) の腹腔内にMTK腹水肉腫IIIを移植し, 移植後3, 6, 8または9日後に宿主を殺して, 肝におけるグリコーゲン (McManus PAS 反応), RNA (Toluidine blue 染色) およびDNA (Feulgen-Schiff 複合体の顕微測光法による測定) の消長を調査した。
グリコーゲンは正常なネズミの肝においては常に豊富に含有されているが, 肉腫を移植されたものにおいては, 次第に肝小葉周辺部より減少し, 宿主が死亡する8~9日後にはほとんど肝全体に亘って消失してしまう。6日間絶食させた, 肉腫を植えないネズミにおいてもこれほど極度なグリコーゲンの消失は見られなかった。グリコーゲンの消失とは逆に, RNAは肉腫移植後次第に増加する。RNAの増加と関係があると思われるが, 仁の肥大•多形化•数の増加および核膜の肥厚が肝細胞において一般的に観察された。一方, DNAも担癌動物において, やや増加する傾向が見られた。また肝細胞核の体積の増加もDNA量の増加と平行して見られた。この外, 担癌動物肝においては, 有糸分裂の増加および sinusoid の膨脹が観察された。

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© 日本癌学会
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