日本・スペイン・ラテンアメリカ学会誌
Online ISSN : 2189-9568
Print ISSN : 1344-9109
授業クラス内におけるグループ形成プロセス-スペイン語教育(ELE)のケーススタディ-
Gisele Fernández Lázaro
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ジャーナル オープンアクセス

2022 年 33 巻 p. 91-113

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抄録

学習グループとして同じような特徴を有していても、教師がリラックスした雰囲気で教えることができるグループがあるのに対し、動機づけが低く、学ぶことを嫌うグループがあるのは何故か。第二言語教育はカリキュラムや教授法など様々な要因の影響を受けるが、いずれもこうした現象を説明するには不十分である。いったい教室では何が起こっているのか。学習グループの態度の違いを決定する要因は何か。本論文は、日本の大学でスペイン語を学ぶ学生(17名)を対象に、グループ形成プロセスを分析したケーススタディの結果を報告する。本研究では、グループ・ダイナミックス理論を枠組みに、ネットワーク・アプローチを採用し、データ収集と分析には計量社会学およびエスノグラフィーの手法を用いた。調査分析の結果、動機づけの低いグループは結束力が低く、メンバーに大きな不安を与えるグループ内の社会的葛藤が認められた。その原因は、学生同士のライバル意識、グループ内でのグループ形成、リーダーの影響、文化的・教育的背景の違いであることが導き出された。

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© 2022 日本・スペイン・ラテンアメリカ学会
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