2021 年 23 巻 1 号 p. 24-33
本研究の目的は,組織内キャリア支援におけるキャリアコンサルタントの役割意識・行動の変化のプロセスを探索的に検討することである。組織内でキャリア支援を行う16名のキャリアコンサルタントに対し,半構造化面接を行った。調査対象者から得られたデータは,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチにより分析し,結果として,63概念,15サブカテゴリ,16カテゴリ,4カテゴリグループが生成された。主な結果は次のとおりである。自己の動機付けを起点として,支援対象との信頼関係を重視し,支援の環境づくりをすることに始まり,キャリア支援の推進にともない意識や行動が変化するが,その過程では,支援の障壁や基盤となるものの影響も受けていた。最終的には役割が広がることで,支援対象である個人と組織の成長も実感し,キャリアコンサルタントとしての成長へとつながる可能性が示唆された。