キャリア・カウンセリング研究
Online ISSN : 2436-4088
ケース報告
外国人留学生の就職活動に関する一考察―強み発見ツールが外国人留学生の自己PR文の表現に与える影響―
伊藤 孝恵
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キーワード: 留学生, 強み, 自己PR文, 表現
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2021 年 23 巻 1 号 p. 34-41

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抄録

留学生の就職支援のためのセミナーやワークショップを開催しても,受講してほしい留学生が参加しないという主催者の悩みも少なくない。

そこで,本研究では,留学生を対象に,自分の強みを発見するための2つのツールを用いて自己理解を促すセッション(個人ワーク,グループワーク)を2時間程度行い,それが留学生の自己PR文の表現にどう影響を与えたか,その実際的な効果を探った。本稿で参考とする「表現」とは,自分の強みや長所が伝わりやすい自己PR文として,日本学生支援機構(2018)で示されている構成・内容を基準とし,それを8つの評価項目から分析した。その結果,強みの自己発見と整理,経験の振り返りが主たる活動を通して,自分が主張したい強みを主軸に具体的な経験が展開され,統一感のある文章へと,表現の変化が見られた。

また,グループワークでは,他の参加者からの指摘を受けて,自分の強みを見直す場面も見られた。特に留学生の場合,エントリーシートでも面接でも,日本語による表現に,何かしら他者からの指摘や指導が必要である。グループワークやピアワークにおいて,留学生同士で指摘し合い修正・改善を試みることで,自らの気づきをもたらし,個別の添削や指導も効率よく行うことができると思われる。

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© 2021 一般社団法人 日本キャリア・カウンセリング学会
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