2024 年 26 巻 1 号 p. 22-30
キャリア支援者が自身や専門性をふりかえり,自身のキャリア形成に関する意識や行動を深めること,ひ いては支援者自身の職業的発達を促すことをねらいとした。そのための教育プログラムを構成し,受講を通 した受講生の意識面や行動面の変化を検討することを目的とした。A大学において,集合形式での講義5 回 と個別面談3回を組み合わせたプログラム(計8 回,34.5時間)が検討され,2022 年1月から3月にリアルタ イムオンライン形式で試行実施された。機縁法により集められた受講協力者は15 名であった(女性12 名・男 性3 名,全員キャリアコンサルタント国家資格者)。プログラム全体を通した理解度は平均4.6(SD:.17),有 意義度は平均4.8(SD:.14),満足度は平均4.9(SD:.3)であった。終了時の感想に関する自由回答は,KJ法の 援用で分析され7小分類・2中分類として整理され,「多様な領域への理解の深まり」「キャリア支援に関す る視野の拡大」「ビジョンや今後の行動がより明確に」等が抽出された。プログラム開始時・終了時,終了3 か月後の3時点で無記名式のWeb調査も実施された。全時点回答者11名の結果を用い平均値の差を検討し た結果,学習態度,支援者としての意識面・行動面,キャリアカウンセリング自己効力感の各尺度で,開始 時より終了3 か月後が有意に高い結果であった。