日本白内障学会誌
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第56回日本白内障学会学術賞受賞記念論文
ルテイン含有抗酸化サプリメントの白内障進行抑制の可能性 —白内障患者における内服前後の房水中過酸化反応および水晶体前囊の抗酸化関連蛋白質の発現変化
林 麗如
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2018 年 30 巻 1 号 p. 13-21

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抄録

ルテイン (lutein, 以下, Lu) の抗酸化作用は加齢黄斑変性の予防に有効とされているが, 白内障の抑制についての効果は明確ではない. 従来の研究では異なる個体間で比較し, 遺伝, 生活習慣などの交絡因子や日々摂取量の変動について考慮されていなかった. 筆者らはこれらの影響を最小限にするため, 摂取量が一定のサプリメントを用いて, 同一人の内服前後で比較した. 両眼同程度の白内障で手術を受ける患者を対象として, 片眼の白内障手術を行い, Lu含有サプリメントを6週間内服したあと, 僚眼の白内障手術を行った. サプリメント内服前後の白内障手術時において, 血清, 房水および水晶体上皮細胞が付着している前囊を採取した. 結果として, サプリメント内服後に房水中のスーパーオキシド消去能が上昇し, 過酸化物質総量が低下した. 前囊におけるペントースリン酸回路の律速酵素であるglucose-6-phosphate dehydorgenaseの発現および蛋白質生成に関連する 18S rRNAが上昇し, 過酸化水素の透過チャンネルである aquaporin 8の発現が低下した. Lu含有抗酸化サプリメントは, 水晶体の過酸化を抑制し, 白内障の発症および進行を予防する可能性が示唆された.

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© 2018 日本白内障学会
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