日本白内障学会誌
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原著
LS-313MF15挿入眼に対する上眼瞼の影響
澤野 宗顕大沼 一彦永田 万由美松島 博之妹尾 正
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2022 年 34 巻 1 号 p. 71-75

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抄録

目的: 低加入度数分節眼内レンズLS-313 MF15(以下,LS)挿入眼に眼瞼下垂や皮膚弛緩症を合併した際の網膜像変化について検討する.方法: 光学計算ソフトを使用し,LS固定方向と上眼瞼による遮蔽の程度を変えた際の網膜像をシミュレートした.結果: 遠用ゾーン上方固定では遠用ゾーン遮蔽により遠方の画質は低下した一方,中間・近方ではボケ像抑制と中間ゾーンへのピンホール効果で画質は向上した.遠用ゾーン下方固定では中間ゾーン遮蔽により中間・近方の画質は低下した一方,遠方の画質は向上.横固定では遠方・中間・近方ともに,遮蔽の進行に伴い画質は低下した.結論: 眼瞼下垂や皮膚弛緩症などの上方からの瞼裂の狭小化を伴うLS挿入眼の網膜像は,眼内レンズの固定方向と遮蔽程度の変化に伴う「レンズ開口面積の減少による網膜像低下」と「ボケ像抑制による網膜像向上」「ピンホール効果による焦点深度拡張」の影響を受け,不規則に変化する可能性が示唆された.

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© 2022 日本白内障学会
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