脳循環代謝(日本脳循環代謝学会機関誌)
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シンポジウム 5 抗血栓薬服用中の脳出血
SAMURAI-ICH(Stroke Acute Management with Urgent Risk-factor Assessment and Improvement-Intracerebral Hemorrhage)研究サブ解析―抗血栓薬服用と血腫増大―
秋山 久尚
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2016 年 27 巻 2 号 p. 287-291

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抄録

近年,高齢化に伴う非弁膜症性心房細動や脳卒中二次予防の患者数増加により,抗血栓薬内服の頻度が増えている.これに伴い抗血栓薬(殊に抗凝固薬)内服中の脳出血合併頻度(0.62~1.8%/年)の増加が認められ,また,この抗血栓薬内服が,高血圧とともに脳出血発症後の血腫増大に関連するリスクのひとつとして考えられている.このため脳出血発症後の血腫増大を抑制するために急性期からの積極的な降圧療法が有効と報告されているが,抗血栓薬内服が血腫増大に寄与するか否かについて,厳重な血圧管理を行った急性期脳出血例を対象とした検討は行われていない.SAMURAI-ICH 研究は,国内10 施設が参加して2009 年7 月から2011 年6月まで,年齢20 歳以上,Glasgow Coma Scale 5 点以上,血腫量60 ml 以下の急性期天幕上脳出血211 例(男性130 例,平均年齢65.6±12.0 歳)を登録し行われた前向き研究である.入院時の収縮期血圧が180 mmHg を超えた症例について,発症3 時間以内にニカルジピン持続静注による降圧治療を開始し,積極的な降圧療法の有効性と至適降圧目標値を明らかにすることを目的に行われた.今回,発症超急性期から厳重に血圧管理(2 時間以内に収縮期血圧が120~160 mmHg へ到達)が行われた脳出血例において,発症時の抗血栓薬内服の有無と血腫部位,入院24 時間までの血腫の増大量・増大率,退院時と3 カ月後の転帰との関連を検討した.抗血栓薬内服は24 例(全症例の11.4%)と少数であったが,厳重に血圧管理がされた超急性期天幕上脳出血例であっても,入院時血腫量が11.9 ml を超えると抗血栓薬内服が,その後の血腫増大量(服用有12.15 ml,服用無4.73 ml,p=0.008)・増大率(服用有77.4%,服用無20.8%,p=0.028)に寄与する可能性が示唆され,抗血栓薬内服例では転帰良好例(mRS 0―1)が少ないことも明らかとなった.

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© 2016 日本脳循環代謝学会
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