脳循環代謝測定は,主に急性および慢性脳虚血における病態を把握するうえで重要な役割を果たしており,多くの研究が報告されている.一酸化炭素(carbon monoxide: CO)中毒においても慢性脳虚血でみられる貧困灌流と同様の状態であることが15O-PETを用いた研究で明らかにされていることから,これまで慢性脳虚血の病態解明および臨床応用に向けて開発されてきたMRIの撮像法や解析法がCO中毒へも応用できる可能性がある.当施設では,これまで3 Tesla MRI(3TMRI)のproton magnetic resonance spectroscopy(1H-MRS)から算出可能な脳温が脳循環代謝状態を反映することを明らかにしている.本稿では,この脳温をCO中毒患者において計測した結果について,脳循環代謝異常という観点から,その病態について述べる.