遺伝子発現解析を難しくしている要因の1つに発現データの不均一性があげられる。遺伝子発現データは特定の集団においても正規分布ではなく多様な分布を示す場合が多く、t検定などの記述統計的手法では対応できない場合が多い。このような問題に対応するためと解析の自動化を目的とした遺伝子発現データの解析手法を開発した。これは、層別化された患者群の遺伝子発現情報のヒストグラムから自動的にデータを評価するためのMembership Functionを形成し、これを用いてFuzzy Logicを行う方法である。この手法を用いて、関節リウマチ患者への抗TNF-α製剤の投与後14週後の効果を薬剤投与前の遺伝子発現データから予測するモデルを構築したところ、モデル生成用のデータ群において89%、トレーニング用のデータ群において94%、バリデーションのデータ群において89%の予測結果を得られた。以上の結果から、遺伝子発現解析において、本研究による自動Membership Function生成機能を適用したFuzzy Logicが極めて有効なツールであることが示唆された。