Chem-Bio Informatics Journal
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1回貫通型膜タンパク質高精度予測システムSOSUImp1の開発
辻 敏之赤沢 史嗣沢田 隆介美宅 成樹
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2010 年 10 巻 p. 61-73

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抄録

1回貫通型膜タンパク質(MP1)は膜タンパク質なかで最も多くの割合を占めており、シグナル伝達や免疫機能、細胞接着など重要な機能を担うタンパク質群である。我々は2つのフィルタからなる1回貫通型膜タンパク質予測システムSOSUImp1を開発した。最初のフィルタとして膜タンパク質予測システムSOSUIを用いて1~2つの膜貫通領域を持つタンパク質だけを抽出した。第二段階ではシグナルペプチドの有無の判別を行った。この判別ではシグナルペプチドがあると考えられるアミノ末端付近の疎水性領域における物理化学的性質の分布を判別分析法によって解析した。この結果、SOSUImp1は5つのタイプ(細胞質水溶性タンパク質、分泌型タンパク質、1回貫通型膜タンパク質シグナルペプチドあり、1回貫通型膜タンパク質シグナルペプチドなし、複数回貫通型膜タンパク質)のタンパク質判別を高精度で行うことに成功した。特にシグナルペプチドを持つ1回貫通型膜タンパク質についてはrecall = 90.5%、precision = 86.4%という高い予測精度であった。シグナルペプチドを持つ1回貫通型膜タンパク質は細胞間シグナル伝達において重要な機能を持つタンパク質群である。本研究で開発したSOSUIMP1はインターネット上で公開している。URLはhttp://bp.nuap.nagoya-u.ac.jp/sosui/mp1/ である。

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2010 Chem-Bio Informatics Society
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