Chem-Bio Informatics Journal
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アロプリノール関連化合物とHLA-B*58:01相互作用のin silico解析
長部 誠頭金 正博平山 令明
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2016 年 16 巻 p. 1-4

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抄録

アロプリノールは高尿酸血症および痛風の治療に広く用いられているが、重篤な特異体質性薬物毒性(IDT)を示す医薬分子としても知られている。近年アロプリノールのIDTの発症はHLA-B*58:01保有との相関が高いことが報告されている。アロプリノールは血液中で速やかに代謝され、その大部分がオキシプリノールに変換する。また、アロプリノールにはアロプリノール関連化合物として、少なくとも6種の不純物が含まれていることも報告されている。一方、特定のHLAとIDTの発症が相関する医薬分子はそのHLAと直接相互作用することが最近実験的に明らかにされた。アロプリノールのIDTがアロプリノール、オキシプリノールそして6種の不純物のいずれによるものか、またどのようにHLAと相互作用するかは未だに不明であり、それをin silico手法で推定することは興味深い。そこで本研究では、ホモロジー・モデリング法(HLA-Modeler)で予測したHLA-B58:01の3次元構造に基づき、ドッキング法(ASEDock)を用いて、このHLAと上述のアロプリノール関連化合物の結合性および結合様式を求めた。結合親和性の評価にはGBVI/WSA_dGを用い、全ての計算は統合計算化学システムMOEにより行った。各化合物の親和性と予測される血液中の濃度から、代謝物であるオキシプリノールが、IDT発症に最も深く関わることが予想された。一方、不純物の中にはより強くHLA-B58:01と結合する化合物があることも明らかになり、これらの不純物の濃度をモニターすることもIDT回避の上からは必要であることが示唆された。

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