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Chem-Bio Informatics Journal
Vol. 17 (2017) p. 72-84

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http://doi.org/10.1273/cbij.17.72

Original

一本鎖DNA、結合タンパク質、両者の複合体の三種類の分子系それぞれについて、陽溶媒(explicit solvent)で水和して、フラグメント分子軌道法(FMO)を行った。目的は、これらの分子系の電子状態への水和の影響を調べることと、それにより、FMO計算の適切な条件を見つけることである。そのために、それぞれの分子系について、溶媒の厚みを変えた水和構造のシリーズを作り、MP2/6-31G*でFMO計算を行った。そして、溶質部分の電荷、溶質の内部エネルギー、溶質‐溶媒間相互作用エネルギーを、溶媒の厚みの関数として算出した。これらの物理量は、三つの分子系すべてにおいて、溶媒の厚み6Åで、ほぼ収束した。それは、系の電荷の中和の有無には、ほとんど左右されなかった。つまり、水和第1層と第2層が、溶質分子の電子状態に決定的な影響を持っていて、それより外の溶媒やイオンの影響は小さいことが示された。今回の結果は、別の分子種に関する既往研究と一致している。以上の結果と、安全係数を考慮すると、今回の分子系のFMO計算には、8Å程度の厚みの溶媒があれば十分と判断できる。

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