Chem-Bio Informatics Journal
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Webをベースにした生体反応系解析用ツールキットWeb-based BEST-KITの最適化モジュールの設計と開発
吉村 淳下之坊 匡弘関口 達也岡本 正宏
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2003 年 3 巻 3 号 p. 114-129

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抄録

代謝経路に代表されるような大規模な生体内非線形反応システムを解析するためのシミュレータMassAction++を開発した。利用者は数理モデルの導出や数値計算を全く意識することなく、反応系の動的挙動や未知パラメータの推定を行うことができる。また、Javaアプレットとして開発されているので、インターネットに接続されているマシンであれば、機種に関係なく利用できる。本研究では、最適化手法に以前のバージョンのMassAction++が搭載していた修正パウエル法(MP)に加え、遺伝的アルゴリズム(GA)、さらに本研究で新たに考案したMPとGAを組み合わせたハイブリッド法の3種を追加した。これらの手法はそれぞれ一長一短があり、ユーザは最適化を行う規模や状況に合わせて手法の選択を行うことができる。すなわち、MPは未知パラメータの数が少なく、最適解の範囲が大体わかっており、かつパラメータ感度が鈍いような系では、他の2手法(GA、ハイブリッド法)に比べ圧倒的に速く最適解を見つけ出すことができる。しかし、最適解に収束する範囲は限られていて、それを以外の初期値からは最適解を見つけ出すことはできない。一方、ハイブリッド法はかなり広い範囲から最適解を探し出すことができ、GAよりも最適解への収束が速い。効率のよい局所探索の機能を持っていないGAに対してMPを組み合わせることにより、大域探索と局所探索を効率よく行うことができるようになった。

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2003 Chem-Bio Informatics Society
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