Chem-Bio Informatics Journal
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RNA結合タンパク質の新規予測法
喜久川 真悟竹原 英毅久原 哲木村 誠
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2005 年 5 巻 1 号 p. 1-14

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抄録

OBフォールドを持つRNA結合タンパク質の予測法を隠れマルコフモデルを用いて開発した。まず、SCOPデータベースに含まれる96種のOBフォールドを2組づつすべての組み合わせで重ね合わせたところ、OBフォールドは構造類似性に基づき4つのグループに分類された。次に、各グループに含まれるタンパク質をRNA結合タンパク質とRNA結合タンパク質ではないものに分け、それぞれのグループのタンパク質のアミノ酸配列を高次構造に基づいて並べ、隠れマルコフモデルを作成した。こうして得られたモデルを超好熱古細菌P.horikoshii OT3のデータベースにより評価したところ、tRNA合成酵素、翻訳開始因子、転写制御因子、リボソームタンパク質L10E等が、OBフォールドを持つRNA結合タンパク質と予測された。この結果より、得られた隠れマルコフモデルは、OBフォールドを持つRNA結合タンパク質の情報を抽出していることが示唆された。また、超好熱古細菌の29種の仮想タンパク質がRNA結合タンパク質と予測された。さらに、このモデルをイネの完全長cDNAデータベースに適用したところ、22種の仮想タンパク質がRNA結合タンパク質と予測された。タンパク質の構造モチーフと特異的な機能は結び付けられないものの、構造モチーフは構造や機能の一部を構成することが知られている。従って、今回の予測法はタンパク質の機能予測や構造ゲノム科学における標的タンパク質の選択に有効であろう。

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2005 Chem-Bio Informatics Society
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