Chem-Bio Informatics Journal
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酵母に対するn-アルキル硫酸毒性の遺伝子機能情報に基づいたゲノミクス解析
シリサッタ ソフォン北河 恵美子米倉 政実岩橋 均
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2008 年 8 巻 3 号 p. 69-84

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抄録

陰イオン界面活性剤であるn-アルキル硫酸は、産業や生活において広く利用されている。本論文では、n-アルキル硫酸の酵母に与える影響についてDNAマイクロアレイを用いて解析した。先ず、アルキル硫酸によって誘導された遺伝子は、MIPSの遺伝子情報に従って、当該遺伝子産物の局在性と機能分類を行った。局在性では細胞壁とペルオキシゾーム、機能分類では、エネルギー代謝特にβ酸化系が顕著であった。これら情報の確かさを確認するために、遺伝子破壊株を用いてSDSに対する感受性を評価した。細胞壁の維持に必要な遺伝子の破壊株は、感受性を示した。一方、β酸化系では遺伝子破壊の影響は認められなかったが、これらの調節因子破壊株では、影響が認められた。本論文では、DNAマイクロアレイ解析において、誘導遺伝子リストから重要な遺伝子を抽出するという一般的な方法ではなく、誘導遺伝子リストを機能情報や局在情報に変換し、遺伝子破壊株と関連づけることにより、影響を解析する手法の優位性を示した。

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2008 Chem-Bio Informatics Society
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