Chem-Bio Informatics Journal
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Rough Set TheoryによるHigh Throughput Screeningデータからの合理的リード化合物選択手法
光山 倫央長谷川 清荒川 正幹船津 公人
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2008 年 8 巻 3 号 p. 85-95

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抄録

創薬分野では、新規リード化合物を発見するためにhigh-throughput screening(HTS)が広く用いられている。しかし、ヒットした化合物の大多数が、実際には阻害活性が低い、という事がよく見受けられる。リード化合物をより効率的に選択するために、QSARを用いたvirtual screening手法が研究されているが、十分な手法はいまだ考案されていない。  本研究では、rough set theory(RST)を用いたリード化合物選択手法を提案する。RSTとは曖昧なものや粗い物を扱うための理論であり、RSTを用いることで、目的関数の値が異なる他の全てのサンプルとを区別することが出来る必要最小限の変数セット(=reduct)およびクラス分類のルールを導出する事が出来る。  Monoamine oxidase阻害剤のQSAR解析にRSTを応用する事で、リード化合物を特定するいくつかのルールを得ることが出来た。解析手順は以下の通りである。まず、CORINAを用いてMAO阻害剤の3次元構造を発生させた。次に、Volsurfを用いて構造記述子を計算した。最後に、RSTを用いてクラス分類ルールを導出した。これらのルールはこれまでの研究結果との整合性の取れたものであり、本手法の有用性が示された。

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2008 Chem-Bio Informatics Society
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