抄録
情報環境が及ぼすテクノ依存症の予防策として、先行研究のない「良書の読書」効果に着目し、理論仮説を設定した。それは、「良書読書量が多い人は、QOL(Quality of Life)が高く、テクノ依存症になりづらい傾向を示す」である。そして、情報系大学生を対象に調査を実施して、共分散構造分析で仮説を検証した。その結果、良書読書量が多い人は、利他的価値観のレベルが高く、そのため人間関係も良好で、それが結果としてテクノ依存症への抑制効果を示しているという因果関係が検証された。また、良書は利他的価値観をとおしてQOL向上に高く寄与しており、今後の情報化社会において「良書の読書」を推進することの重要性が示唆された。