2014 年と2015 年に佐渡市および対馬市の住民に対して行った,野生復帰事業に関するアンケート調査を分析した。それぞれの自治体で行われている野生復帰事業をめぐる住民意識と環境教育・意識啓発への志向性を比較した結果,野生復帰事業の進展状況や野生復帰の対象種の違いは,住民の意識にほとんど違いをもたらさなかった。住民の環境教育・意識啓発については,対象・内容・方法において,ほぼ同じ傾向であることが明らかになった。しかし野生復帰事業そのものに対して判断を留保している住民は,環境教育・意識啓発に比較的ネガティブな考えを持つことが明らかになった。