主催: 一般社団法人環境情報科学センター
p. 145-150
奄美大島には多くの希少種が生息し,その保全と林業及びツーリズム利用を共存させていくことが課題となっている.本研究では森林伐採及びツーリズムの現況を把握したうえで,管理方針が確定している宇検村を事例地域として希少種保全に留意する森林管理方針の選択肢について評価した.伐採は大半が宇検村と大和村で行われているのに対し,ツーリズムの対象は奄美市の原生林とアマミノクロウサギに集中していた.林齢を基準に林業,希少種保全,ツーリズムの評価指標を定め,選択肢を比較した結果,全ての選択肢で近年の伐採面積を上回る実績が上げられることに鑑みて,一部を短伐期,残りを長伐期と禁伐域に設定するのが妥当と考えられた.