2015 年 69 巻 1 号 p. 243-250
本研究では、寒冷地において空隙中に水が浸透する環境条件下にあるポーラスコンクリートを対象に、空隙の飽和・不飽和状態が熱拡散率に及ぼす影響について考察を加えた。その結果、空隙が飽和状態のポーラスコンクリートの熱拡散率は、常温において普通コンクリートとほぼ同じになり、空隙率との間に線形関係があることを明らかにした。また、空隙が飽和状態のポーラスコンクリートにおいて低温から常温の間で連続的に測定した温度には、空隙中の水あるいは氷の状態変化(潜熱)の影響で融点一定区間が見られ、この融点一定区間の時間は空隙率との間に線形関係があることを明らかにした。