2015 年 69 巻 1 号 p. 96-103
コンクリートの塩害を防止する上で塩化物イオン拡散メカニズムの解明は重要であり、種々の塩化物イオン拡散モデルが提案されている。塩化物イオンの拡散係数には空隙構造の屈曲度や、細孔壁面の表面電荷が影響を及ぼす。しかし、両者は個別に評価されることが多く、表面電荷の影響を考慮した屈曲度の定量的な評価が必要とされている。本研究では空隙構造(空隙径・空隙量)を変化させた試料を用いて塩化物イオン拡散モデル値と実測値との検証を行った。その結果、全空隙量に占める5nm以下の空隙径の割合が増加するにつれて、塩化物イオン拡散モデルの屈曲度が増加した。