2016 年 70 巻 1 号 p. 104-110
C3A-Gypsum-Portlandite系の水和反応について、地球化学コードPHREEQCを用いて水和物の生成機構を推定することを目的とし、表面錯体モデルによってC4AH13の生成過程の検討を行ったほか、C4AH13の定量値を導入した水和生成物量予測を行った。解析の結果、水和ごく初期に硫酸イオンの影響によりC3Aの表面電位が低下することでC4AH13が生成することが示唆された。また、C4AH13の接水即時の生成を考慮せずに予測した水和生成物量は実験値と大きく乖離した値を示し、XRDおよびNMRによって定量したC4AH13量を導入することで生成量をうまく推定することができた。しかし、Gypsumの全量溶解後は予測値に乖離がみられ、EttringiteとMonosulfateを端成分とする固溶体が生成する可能性が示された。