茶業研究報告
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チャコウラナメクジによるハマキガ卵塊の捕食
小杉 由紀夫
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2008 年 2008 巻 105 号 p. 105_27-105_34

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抄録

チャコウラナメクジのチャハマキ,チャノコカクモンハマキ卵の捕食状況を,飼育容器及び茶園で調査した。飼育容器内では,チャコウラナメクジ1頭が1晩でチャハマキ卵を6.1~9.3卵塊,チャノコカクモンハマキ卵を14.3卵塊,捕食した。茶園では,人為的に取り付けたチャハマキ卵塊及び野性卵塊ともナメクジ類による捕食が認められた。捕食された卵塊数は茶園間差が大きく,誘引トラップでのナメクジ捕獲数が多い茶園ほど捕食卵塊数が多い傾向が見られた。茶園でチャハマキ卵塊を捕食したナメクジは,捕食状況や採集個体の同定結果,国内でのナメクジ類の発生状況等から,チャコウラナメクジであると考えられた。薬剤が付着した卵塊に対する捕食は,銅剤では影響がなかったが,有機リン剤やカーバメート剤の中には卵塊の捕食を抑制する可能性が伺われた。なお,チャコウラナメクジがチャ新芽を食害しないことも確認された。

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© 2008 日本茶業技術協会
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