茶業研究報告
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光強度がチャ新芽の葉色および成分に及ぼす影響
小林 栄人中村 順行鈴木 利和大石 哲也稲葉 清文
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キーワード: 防霜, 防霜ファン, 凍霜害, 茶樹
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2011 年 2011 巻 111 号 p. 111_39-111_49

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抄録

恒温器内で茶ポット苗に光強度(PPFD:0,2,7,70,1300μmolm-2s-1) を変えて照射し,新芽の葉色および成分の変化を調査した。また,一番茶の約2葉期から3週間,遮光率(0%,85%,98%,100%)を変えて直接被覆を行い,PPFD,新芽の葉色および成分の変化を調査した。
新芽の葉色はPPFD:70μmolm-2s-1照射が最も濃緑化し,PPFD:7,2μmolm-2s-1照射は淡緑となり,PPFD:0μmolm-2s-1(暗黒)は白黄化した。また,遮光試験では85%遮光が最も濃緑化し,98%遮光はやや淡緑となり,100%遮光は白黄化した。
日中の平均PPFDは,露天区は930μmolm-2s-1,85%区は112μmolm-2s-1,98%区は7μmolm-2s-1,100%区は0μmolm-2s-1であり,遮光率が高いほどPPFDは低下した。また,雨天日のPPFDは晴天日の1割程度であり,雨天日は85%遮光下と同程度,雨天日の85%遮光下は晴天日の98%遮光下と同程度のPPFDを示した。
新芽のアミノ酸含量はPPFDが低いほど,また,遮光率が高いほど増加した。特に,100%遮光はアミノ酸含量が被覆開始時に比べて2倍以上増加し,アルギニンは約3倍,セリンは約4倍,アスパラギンは約50倍増加する傾向が見られた。
新芽のカテキン類含量はPPFD:1300および0μmolm-2s-1(暗黒)がPPFD:70μmolm-2s-1に比べて多く,一方,カフェイン含量はPPFDが低いほど,また,遮光率が高いほど増加した。
以上のことから,新芽の葉色はPPFDの低下に伴い濃緑化し,PPFD:7~2μmolm-2s-1程度で淡緑化し,PPFD:0μmolm-2s-1では白黄化するとともに,新芽のアミノ酸含量が著しく増加することが明らかとなった。

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© 2011 日本茶業技術協会
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