茶業研究報告
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茶の品種・系統における荒茶色沢評価と測色値,色素類含有量及びpHとの関係
伊地 知仁德田 明彦
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2015 年 2015 巻 119 号 p. 119_7-119_11

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抄録

荒茶の外観色沢は個体や系統選抜を行うに当たり,煎茶として評価を行う場合に重要視される形質の一つである。生葉の色は荒茶色沢と関連があるとされているが,製造後の外観色沢とは必ずしも一致しないこともしばしば観察される。そこで,系統選抜段階の色沢評価と測色値,色素類含有量,pHとの関連性について検討した。
生葉と荒茶の色の関係について,測色値のh*でみると,一番茶では正の相関が認められたが,二番茶では関連性が認められなかった。色沢評点は,生葉のh*とは一番茶,二番茶ともに明確な関連性が認められなかったのに対し,荒茶のh*とは一番茶,二番茶ともに強い正の相関が認められ,h*の大きい緑色の強い品種・系統で高い傾向であった。さらに,phy変化率と外観色沢評価は強い負の相関があり,加えてphy変化率に関与するpHも外観色沢評価と正の相関が認められた。したがって,品種・系統の荒茶色沢に関する特性は,Phy変化率や,それに関与するpHで推定できることが示唆された。

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© 2015 日本茶業学会
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