茶業研究報告
Online ISSN : 1883-941X
Print ISSN : 0366-6190
ISSN-L : 0366-6190
荒茶製造における蒸熱処理の代替としてのマイクロ波加熱
ジャーナル フリー

1991 年 1991 巻 73 号 p. 23-29

詳細
抄録

ベルトコンベア式マイクロ波加熱装置(最大出力・4.8kW,2450±30MHz)の多用途利用を図るため,荒茶製造工程のうち,蒸熱処理の代替としてマイクロ波加熱の適用について検討した。
1.マイクロ波加熱によるブランチングは,生葉の乾燥を伴うため,全般に処理葉は粗揉以降の工程においてやや揉みにくくなり,製品がやや締り不足で,香味もやや淡白になる傾向はあるが,色沢,水色とも良好であった。
2.マイクロ波出力4.8kW,照射時間48~75秒,ブランチング茶葉の重量減が25~40%の範囲に入るように処理されたブランチング葉で製造された荒茶は,蒸熱法の荒茶とほぼ同等の評価が得られ,この条件で蒸熱法の代替が可能と考えられた。この時の主要アミノ酸,カフェイン,タンニン,アスコルビン酸含量や主要香気成分含量も蒸熱法によ・る荒茶とほぼ同等の値を示した。
一方、出力が低すぎたり,照射時間が短かすぎると青臭や萎凋香が認められ,また,出力が高くても照射時間が長すぎると過度の乾燥を生じ,製品の品質低下の原因となった。
本研究の実施に当たり種々の御協力いただいた中部電力株式会社に深く感謝申し上げます。

© 日本茶業技術協会
前の記事 次の記事
feedback
Top